Pickaxeは、2026年9月18日に公式ブログで「ChatGPTのカスタムGPTをPickaxeで作り直す手順」を紹介する記事を公開しました。カスタムGPTの指示文と資料ファイルを使い回して、自分のブランドのAIツールとして公開し、利用の上限や有料化まで設定できる、という内容です。
背景には、OpenAIがカスタムGPTの終了を予定していることがあります。OpenAIのヘルプセンターによると、終了日は2026年12月11日と案内されています。
この記事では、Pickaxeでの作り直しの手順、料金、制限、日本から使うときに確認が必要な点を、2026年10月9日時点の公式情報にそってまとめます。画面の操作は、公式ヘルプと公式ブログの記載にもとづいています。
結論:先に知っておきたい3つのこと
- 自動で移行されるのではなく、手作業での作り直しです。公式は「手動での作り直し」と書いています。指示文と資料は使い回せます。アクション(外部サービスとの連携)、共有の設定、過去の会話は、設定し直しや別の移行計画が必要です。
- 料金ページのプランは有料の3つで、月37ドルからです。料金ページには14日間の無料トライアルの案内があり、公式の紹介ページには「最初のエージェントは無料で作れる」という趣旨の文言もあります。利用者があなたのツールを使った分は、あなたのクレジットから引かれると料金ページのよくある質問に書かれています。
- 顧客への課金には日本円を選べますが、日本からの売上の受け取りは公式の現行ページでは確認できませんでした。Pickaxe自体の料金はドル表示で、公式ページはすべて英語でした。有料で配る予定なら、先に試すか問い合わせることをおすすめします。
Pickaxeとは
Pickaxeは、プログラミングなしでAIエージェント(指示や資料を与えて役割を決めたAIのチャット)を作り、ウェブサイトやメッセージアプリで公開して、利用料を集めるところまで行えるサービスです。公式ヘルプには、エージェントを束ねて公開する「ポータル」と、誰がどれだけ使えるかを決める「アクセスグループ」が説明されています。
公式ブログの対応表をもとにした、カスタムGPTの項目とPickaxeの置き場所の対応は次のとおりです。「引き継ぎ」の列は、公式ブログの「確かめること」の記載をもとに編集部が整理したものです。
| カスタムGPTの項目 | Pickaxeでの置き場所 | 引き継ぎ |
|---|---|---|
| 指示文 | エージェントの設定画面にあるプロンプト欄 | 貼り付けて再利用できる |
| 会話の始め方の例 | アイスブレーカー(会話開始の例文) | 作り直す |
| 知識ファイル | ナレッジ(Knowledge) | 元の資料を入れ直す |
| モデルの選択 | AIモデルの選択画面 | 提供元をまたいで選び直す |
| カスタムアクション | アクションと連携サービス | 設定し直す |
| 共有 | デプロイとアクセスグループ | 設計し直す |
| 過去の会話・登録者 | 別途、移行の計画が必要 | 自動では移らない |
2026年10月9日に公式の更新履歴を確認したところ、この作り直しに当たる独立した新機能の項目は見つかりませんでした。9月18日の項目は、ビルダーの選択画面の改善などでした。
つまり今回の話題は「専用の移行ボタンが出た」ことではなく、「既存の機能で作り直すための手順が公式に整理された」ことだと読めます。
料金と使えるプラン
料金ページに表示されているのは、Gold、Pro、Businessの3つです。金額はすべて米ドルで、日本円の表示は見当たりませんでした。
| プラン | 料金 | 毎月の無料クレジット | 作り直しに関わる上限 | 課金の手数料(公式ヘルプ・料金ページ) |
|---|---|---|---|---|
| Gold | 月37ドル。年払いは月あたり29ドル | 15ドル分 | ワークスペース3つまで/1エージェントにつきアクション3つまで/ナレッジの文書は1ワークスペースにつき50点/共同編集者は1ワークスペースにつき1人 | 10%(収益の保持率90%)。決済手数料は別 |
| Pro | 月147ドル。年払いは月あたり116ドル | 50ドル分 | ワークスペース・文書・アクションは無制限/共同編集者は1ワークスペースにつき4人/SlackとWhatsAppでの公開に対応 | 8%(収益の保持率92%)。決済手数料は別 |
| Business | 月597ドルから。最低6か月の契約 | 個別に設定 | 無制限(比較表の記載)/専任サポート/高度なSSO(ログイン連携)などの個別対応 | 「収益の最大98%を保持」 |
白ラベル(Pickaxeの表示を出さない設定)、独自ドメイン、収益化の機能は、料金ページの比較表で3つのプランすべてに印が付いています。年払いは20%割引と案内されています。
表の手数料は、Pickaxeが収益から差し引く割合です。公式ブログは、顧客への価格を決めるときに、AIの利用コストとあわせて、プラットフォームの手数料と決済の手数料も計算に入れるよう書いています。決済の手数料の金額は、現行のヘルプには書かれていません。
Proの「アクション無制限」は、つなげられる数の上限の話です。公式ヘルプは、1つのエージェントにつなぐアクションは4つまでを勧めています。多すぎると、AIが正しいアクションを選びにくくなるためです。
クレジットについて、料金ページには「1ドル分のクレジットは1ドル分の利用コストに当たる」とあります。AIが1回返答するたびに、そのコスト分が引かれます。
無料トライアルは、料金ページを開いたときに「14日間の無料トライアル」の案内が表示されました。カード登録の要否とトライアル中のクレジットの扱いは、読んだ範囲では不明です。
支払いについて、利用規約(2026年1月5日更新)には、すべての購入は返金不可で、解約や下位プランへの変更は現在の請求期間の終わりに有効になると書かれています。
使い方
以下は、公式ブログ「Rebuild a Custom GPT on Pickaxe」と、公式ヘルプ(Pickaxe Learn)の手順を元に組み直したものです。画面の名称は更新で変わることがあります。この手順は公式の記載にもとづくもので、実機での操作確認は未実施です。
- 材料をそろえます。元のGPTの名前と説明、指示文、会話の始め方の例、資料ファイル、使っているアクションの内容、確認用の依頼5〜10件を1か所にまとめます。公式ブログは、編集権限があるGPTか、再利用が許された設定だけを使うよう注意しています。
- エージェントを作り、指示文を貼ります。公式ヘルプのエージェントビルダーの節では、指示文を入れる欄は「System prompt」です。公式ブログは「Role」欄と書いており、画面の名称が変わっている可能性があります。最初はもとの文章をなるべくそのまま使い、プレビューで確かめます。
- モデルを選びます。複数の提供元のモデルから選べます。同じ答えになる保証はないと、公式ブログは書いています。
- 資料を入れます。ナレッジの画面でファイルを追加します。公式ヘルプによると、PDF、Word、Excel、テキストなどの文書のほか、ウェブページ、YouTube、外部サービスとの連携も使えます。スキャンした文書は文字認識で読み取られます。
- アクションをつなぎ直します。ビルダーの「Actions」で連携先を探します。アクションを自分のアカウントで動かすか、利用者それぞれのアカウントで動かすかを選ぶ設定があります。
- テストします。元のGPTと同じ依頼を両方に出して、結果を比べます。公式ブログは、通常の依頼、資料にない質問、アクションの失敗、長い会話を試すよう勧めています。
- ポータルを作ります(任意)。「Portals」でポータルを作り、「Content」にエージェントを入れ、「Design」で見た目を整えます。ポータルは公式ヘルプによると、Pickaxeのドメインか自分のドメインで公開できます。
- アクセスを決めます。ポータルの「Access」で、ログイン不要の公開グループと、登録が必要なメンバーグループを設定し、使える量の上限と、上限に達したときの案内文を決めます。
- 課金を設定します(任意)。ワークスペースの設定でStripe(決済サービス)をつなぎ、メンバーグループの「Monetization」で、買い切りか定期課金かを選んで価格を入れます。公式ヘルプでは、定期課金の期間は日・週・月・年から選べます。
- 公開先を選び、古いリンクを差し替えます。ウェブサイトへの埋め込み、リンク、メールなどから選べます。OpenAIのリンクがPickaxeに自動で転送されると思い込まないよう、公式ブログは注意しています。案内先は自分で差し替えます。
制限と、できないこと
引き継げないもの
公式ブログによると、ChatGPT内の過去の会話は、この方法では移りません。アクションの設定、共有の設定、既存の登録者や購読も自動では移りません。
公開チャットのリンクしか持っていない場合は、作成者に確認し、使ってよい範囲の材料だけを使うよう、公式ブログは書いています。
費用の仕組み
料金ページのよくある質問には、利用者があなたのエージェントを使うと、あなたのクレジットが使われると書かれています。利用者に課金して回収するかどうかは、設計の問題になります。
利用者への課金は「使用回数」か「クレジット」のどちらかで管理します。公式の更新履歴(2026年5月19日)では、クレジットは10,000クレジットがPickaxeの利用額1ドルに当たり、1ドルあたりのクレジット数は自分で決められると説明されています。
データの扱い
利用規約には、入力と出力を含む利用者のやり取りのデータを、Pickaxeがモデルの学習に使うことがあると書かれています。ただしProプランの契約期間中は使わず、アップロードした文書は学習に使わないとも書かれています。
日本から使うときに確認できたこと
日本の読者が気になる点を、公式ページでどこまで確認できたかを表にしました。
| 確認したい点 | 公式で確認できた内容 |
|---|---|
| 日本語の画面・ヘルプ | 読んだ公式ページはすべて英語でした。サイトのフッターにある言語の切り替えは、見つかった範囲ではスペイン語のみです。日本語の画面は公式に記載なし |
| 日本語での回答 | エージェントが日本語で答えられるかを説明したページは、読んだ範囲では見つかりませんでした。更新履歴(2026年8月26日)には、音声入力が話された言語を自動で判別するとあります。ただしこれは、作る側のビルダー画面などでの音声入力の話で、エージェントが日本語で答えられるかの説明ではありません。回答の質は試していません |
| Pickaxeへの支払い通貨 | 料金ページは米ドル表示のみです。日本円での請求、消費税、インボイス(適格請求書)の扱いは公式に記載なし |
| 顧客への課金の通貨 | 公式ヘルプの収益化のページに、日本円を含む通貨から選べるとあります(米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円、豪ドル、カナダドル、人民元)。更新履歴(2026年8月3日)にも日本円が挙がっていますが、通貨の数は「26」と書かれ、ヘルプの一覧と食い違っています |
| 日本からの売上の受け取り | 現行のヘルプには対応国の一覧がありません。2024年8月のコミュニティ掲示板にある運営側とみられる投稿には、当時「支払いを処理できるはず」とされた国として日本が挙がっています(例外がある、とも書かれています)。一方、Stripeの公式ページは、送金型の方式で海外の連結アカウント(受け取り側のアカウント)へ資金を送れる地域として米国、英国、EEA、カナダ、スイスを挙げていて、日本はありません。Pickaxeがどの方式を使っているかは書かれておらず、日本から受け取れるかは断定できません |
日本から有料で配る予定があるなら、Stripeの接続画面まで進めるか、Pickaxeの問い合わせ先に確認してから、価格や告知を決めるのが安全です。
向いている使い方・向いていない使い方
ここからは公式の説明とは別の、編集部の見方です。
| 向いている使い方 | 向いていない使い方 |
|---|---|
| 指示文と資料だけで動いているGPTを、自分のページで配りたい | カスタムアクションに強く依存していて、連携の作り直しに手間をかけられない |
| 顧客やメンバーごとに、使える量を分けたい | ChatGPTの中で同僚と使えれば十分で、外に出す予定がない |
| モデルの提供元を変えて比べたい | 過去の会話や登録者をそのまま引き継ぎたい |
| 英語の画面とヘルプで設定を進められる | 日本語の画面・日本円の請求・日本の受け取りが前提の運用 |
無料クレジットの範囲で収まるかは、代表的な会話を数回流して使用量を見てから決めると安心です。
よくある質問
PickaxeはカスタムGPTを自動で移行してくれますか
いいえ。公式ブログは「手動での作り直し」と説明しています。指示文と資料を使って作り直し、アクションや公開先は設定し直します。
Pickaxeは無料で使えますか
料金ページに載っているプランは、Gold、Pro、Businessの有料3つです。14日間の無料トライアルの案内はありますが、トライアルの条件は読んだ範囲では確認できませんでした。カスタムGPT向けの公式の紹介ページには「最初のエージェントは無料で作れる。公開して広げるときにプランを選ぶ」という趣旨の文言がありますが、無料で作れる範囲の条件は読んだ範囲では書かれていません。ずっと無料で使えるプランは、料金ページには載っていません。
Pickaxeで日本円の課金や日本からの収益化はできますか
顧客への課金の通貨には日本円を選べると、公式ヘルプに書かれています。日本からの売上の受け取りについては、現行の公式ページに明記がなく、本記事の表で示した資料からは判断できません。
ChatGPTのカスタムGPTは、いつまで使えますか
OpenAIのヘルプセンターでは、2026年12月11日に終了する予定と案内されています。終了の延期が承認されたEnterpriseのワークスペースは、2027年2月11日です。
ChatGPTの中に残したい場合は、「プラグイン」への移行も案内されています。これは計画中の手順で、アカウントによってはまだ使えません。計画では、指示文はスキルとして、接続済みのアプリはアプリとして、知識ファイルは参照ファイルとして移りますが、カスタムアクションとモデルの選択は移りません。ご自身のアカウントの案内も確認してください。
まとめ
Pickaxeでの作り直しは、移行ツールを使うのではなく、指示文と資料を持ち込んで組み立て直す作業です。そのぶん、モデルの選び方、利用者ごとの上限、課金の仕組みを、自分の事業に合わせて決められます。
費用面では、月37ドルからのプランに加えて、利用者が使った分があなたのクレジットから引かれる点に注意が必要です。日本円の課金は選べますが、日本からの受け取りと日本語の画面は、公式ページでは確認しきれませんでした。
終了が予定されているのは12月11日です。時間があるうちに、元のGPTの指示文と資料を保存しておくと、どの移行先を選ぶ場合でも役に立ちます。
参考:
- Pickaxe公式ブログ「How to Rebuild a Custom GPT on Pickaxe」(2026年9月18日)
- Pickaxe 料金ページ
- Pickaxe Learn「Monetization」
- Pickaxe Learn「Agent Builder」
- Pickaxe Learn「Knowledge Base」
- Pickaxe Learn「Portals」
- Pickaxe Learn「Member Access Groups」
- Pickaxe 更新履歴
- Pickaxe 利用規約
- Pickaxeコミュニティ「Countries where Studio builders can take payments」(2024年8月)
- OpenAI Help Center「Custom GPT retirement and migration FAQ」
- Stripe Docs「海外への入金」